◎ 完全支配関係法人間での償却資産の譲渡
(グル−プ法人税制)



完全支配関係法人間で減価償却資産の譲渡があった場合
− 平成22年10月1日以後に行われる譲渡 −




◆ 完全支配関係法人間での償却資産の譲渡


● グループ法人の間で減価償却資産を譲渡した場合の処理


≪例≫
A社 (3月決算) 所有の機械装置 (簿価100 ・ 耐用年数5年) を平成23年4月に
完全支配の子会社B社 (3月決算) に150で譲渡した場合
  なお、B社は、この機械装置を取得後、直ちに事業の用に供し、耐用年数5年の
定率法 (償却率0.500) により減価償却を行っている


譲渡時
の処理
会計上の処理税務上の処理
 
譲渡
法人

(A社)
現金預金 / 機械装置
  150     100
       機械売却益
          50
申告調整
  別表4(留保)
  完全支配関係法人間の損益の減算調整額 ▲50
  別表5(1)
  譲渡損益調整資産の譲渡利益額  ▲50
 
譲受
法人

(B社)
機械装置 / 現金預金
  150     150
申告調整   なし  



≪例≫
B社が減価償却を行ったことに対応する平成24年3月期におけるA社の申告調整
B社の減価償却費計上額  150×0.500=75
税務上の処理




調



(A社)
(1)原則法

 戻入額 = 譲渡損益調整資産の譲渡利益 (損失) 額 ×
  B社の減価償却費 ÷ B社の譲渡損益調整資産の取得価額
   = 50 × 75 ÷ 150 = 25
   別表4(留保)
   完全支配関係法人間の損益の減算調整額戻入  +25
   別表5(1)
   譲渡損益調整資産の譲渡利益額  +25

(2)簡便法

 戻入額 = 譲渡損益調整資産の譲渡利益 (損失) 額 ×
  A社の事業年度の月数 (譲渡前の期間を除く) ÷
  (減価償却資産の耐用年数×12)
   = 50 × 12 ÷ (5×12) = 10
   別表4(留保)
   完全支配関係法人間の損益の減算調整額戻入  +10
   別表5(1)
   譲渡損益調整資産の譲渡利益額  +10
譲渡損益調整資産が減価償却資産 又は 繰延資産の場合に限り
原則法 と 簡便法の選択が可能


当事者間の通知義務 (→)




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譲受法人の方で行った減価償却費を調整した金額について、譲渡法人側で申告調整が必要となります。
その調整額の計算方法として、原則法と簡便法があります。




mail: hy1950@manekineko.ne.jp
tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
http: //www.manekineko.ne.jp/hy1950/